pupui’s blog

何も知らない私が在宅介護を選んだのは…

WEB面会

在宅介護までの道のりは

まだまだ遠いんです…

私の中に在宅で世話するのは

老衰だったり、なかなか受けてもらえる

ケアハウスが見つからず家族が

必死で面倒みている認知の親とか…

そんな認識でしかありませんでした

 

初めてのWEB面会

姉と2人で病院まで行った

受付で面会者の申込み用紙に記入し

既にpc前で準備していたスタッフさんに

提出するとpc画面には

病室内でセッティング中の様子が

映っていて、何が始まったのか

分からずキョトンとベッドに座っている母の姿があった

 

母はとても耳が遠い事

を何度もスタッフさんに伝えるが

音量もこれ以上は上げられない

イヤホンもない

と特に配慮はされなかった

 

どうぞ、お話し下さい

とWEB面会が始まった

姉と2人で大きな声で

お母さーん!と何度も声をかける

聞こえる?分かる?

と大声で話しかけるが

pcの画面に映っているだろう私達を

ホケ〜と眺めたり

側にいる看護師さんの方をキョロキョロ

見たりしている

 

母はビデオ通話なんてした事ないし

pcに映っているにが写真なのか

何なのかも理解出来てないように

思える

看護師さんや私達側のスタッフさんも

母の検査結果や診断結果からも

既に理解出来る能力はない

と思っているのだろう

コロナ禍で面会禁止の家族の

気が済むための作業に思えてくる

 

けれど、倒れた日、最後に母に会った日

私は母が私を認知し何度も手を握ってたし、涙を流していた事が

忘れられないのだ

娘が分からないのではなく

WEB面会のこの状況が

一体何してんや???

ってキョトンとなってると

思えて仕方ない

 

何度も画面に見え隠れする母側の看護師さんに呼びかける

母は本当に耳が遠いんです‼︎

音量を上げてもらえませんか?

すると看護師さんが母の耳元で

ゆっくり大きな声で

「娘さんが来てるよ!」と

画面に指差した

その途端!

母は泣き崩れるように嗚咽し

動く左手を自分で目に当てて

涙を何度も拭った

 

音量を上げようと母側の看護師さんが

pcを操作してくれたようだが

それが良くなかったのか

あちら側のpcから音声が聞こえなくなったようだ

あちら側の看護師さんからこちら側のスタッフさんに院内携帯電話で

お互い話し始めた

少し様子を伺っていたが

ププイ:あの…その携帯で話しさせて

    もらえませんか?

スタッフ:えっ?

ププイ:あちらの看護師さんの携帯を

    母の耳に当てて

    もらえませんか?

 

どうしよう?どうするべき?とあたふたするスタッフさんの前に私は手を差し出し電話を貸すように促す

勢いに負けたのか

迷いながらも携帯を私に渡す

私はその携帯であちら側の看護師さんに

このまま母の耳に当てて欲しいと

伝える

看護師さんが母の耳に当てると

母はじっと携帯に耳を澄ませ

動く左手で携帯を自分の耳にもっと

強く押し当てた

 

「お母さん!聞こえる?

ごめんやで!コロナやから部屋に

入れてもらわれへんねん!

でも、下のロビーにおるよ!

大丈夫やからな!何も心配いらんで!」

と大声で話しかけた

母は泣きながら何か話そうと

苦しそうに口を開くが

言葉が出てこない

言葉が出てこない事に苛立つような

素振りで頭を振った

これが失語症なんだと知った

 

それでも…

お医者さまは理解出来ているのではなく

記憶や反応だと…言い続けるだけだった

 

2週間後

父と私でWEB面会に行った

病院のレンタルパジャマは

ボタンではなく浴衣のように

前を合わせて紐を2箇所で結びタイプ

を着せられていた

前回も今回も胸元ははだけたまま

ずっと横になっているので

髪もボサボサでお洒落だった母の

面影は1ミリもなかった

少し肌寒くなる季節だったので

カーディガンやショールも

渡してあったが、転院まで1度も

かけてもらった様子はなかった

 

父と私が呼びかけると

今度はWEB面会と理解出来たのか

最初じぃーっと画面を見つめていたが

前回同様、泣きながら左手で

涙を拭った

その左手には拘束用の手袋が

はめられていた

事前に電話で

「鼻からのチューブを抜くと

大変なので状況に応じて

拘束する事を了解お願いします」

と確認があった

現状が理解出来ない母にとって

触ってはダメですよ

は理解出来ないとの事だった

拘束用の大きなミトンで涙を拭う母の姿があまりにも可哀想で胸が痛かった

自分で体を動かす事も

自由にテレビを付ける事も

食事も出来ず

話す事も言い返す事もできず

唯一動く左手の自由までも奪われていた

 

WEB面会は2週間に1度、10分程度

けれど、私は2日に1度は日用品や

洗濯物の運搬に呼ばれて

病院を訪れた

夕方の外来が閉まった暗い病院に

警備室前の入口から入る事もあったし

日中の看護師さんや介護士さんが

走り回っている時間に行く事もあった

 

エレベーターのすぐ横に

テレビやソファーが置かれ

通常なら面会に来た家族と入院患者が

お話しするフリースペースのエリアがある

コロナ禍の今は面会禁止の状態なので

蕎麦屋の出前インターホンで

待たされる家族の待機所となっている

 

病院内全科面会禁止!

けれど、病院パジャマを着て点滴のポールを押した男性と

面会に来た女性がずっと座って話していた

私は母が病院食をほとんど口にしない

と液体栄養食を鼻からのチューブのみで

栄養を補っていたので

家から大好きな茶粥を作って持って行った

食事の介助は12時過ぎからなので

12時前には持って来て下さいと言われ

看護師さん達の仕事が一旦落ち着く1時半過ぎまで

そのフリースペースで待っていたが

その中年カップル私の来る前から

そして帰る時もまだそこで

過ごしていた

エレベーター横なので看護師さんや病院職員は

大勢がそこを通り過ぎるが

誰も何も言わない

え?見えないの?

私だけに見えてるの?

どういう事?

とずっとずっとそのカップルを眺めていたら

2時間すぐに経った

 

ある夕方、蕎麦屋に出前インターホンを

押して返事を待っていたら

女性の大きな話し声背後からし

振り向くと廊下の壁の少し窪んだエリアに

椅子に座ってスマホ

ビデオ通話しているパジャマ姿の

30代くらいの女性がいた

イヤホンもつけずに大声で話しているので

向こうの声も聞こえてくる

可愛い男の子の声がした

お母さんが入院して小さな子供は

寂しいよな〜

若い人達はこうやってスマホ持って

ビデオ通話いつでも出来るから

面会禁止でも少しはいいよね

と思ったりした

 

別の日のお昼間

蕎麦屋の出前インターホンに先客がいた

60代後半かな〜の女性

てっきりインターホンを押して待ってる

と思っていたら

自分の携帯で何やら話している

廊下の向こうから大柄のパジャマを着た男性が

スマホで話しながら歩いてきた

そして、この2人が携帯を切って横に並んで

話しながらエレベーターに乗り

階下へ降りていった

 

面会禁止って誰の為にあるんだろう

入院患者で出歩き出来る人は自由に

外部の人と接触をし

外部から持ち込まない対策と言いながら

内部が外部との接触には寛容で…

それに文句あるなら携帯持たせろと言い

テレビすら自分で付けれない者に

携帯持たせろと⁈

拘束ミトン付けてりゃ私だってスマホ

使えませんしね?

 

WEB面会という仕方なく採用した制度

にもスタッフは駆け回り

蕎麦屋の出前インターホンにも

いちいち手を止め対応しなくちゃいけない看護師さん達

医療崩壊!人手不足!

そんな言葉たくさん聞いてきたけど

システムが崩壊してるんよね

事件は現場で起こってるんだ!

って言えないのが大病院なのかな〜