pupui’s blog

何も知らない私が在宅介護を選んだのは…

転院

実際、転院先の病院もクラスター直後なので

面会には厳しい

面会再開は目処がたたないが

再開したら病室で直接10分間の

面会が出来るらしい

2週間に1度だけど…

 

転院の際は

姉家族も来てくれた

次、会えるかどうかみんな口に出さずとも

これが最後かも…

と毎回感じていたからだ

 

言われた時間に行くも

結局、蕎麦屋の出前インターホンから

フリースペースでみんな待たされる

「少々お待ち下さい」

は5分の時もあれば数十分の時もある

 

転院先から受入れ時間の指定があり

それまでに精算や手続きを済ませたり

本人の着替えを持って来てもらって

着替えなど準備があるので

何時には必ず来て下さい

と事前に言われていたので

到着してはいるが

このフリースペースから

なかなか進まないのである

朝は病棟が一番忙しいのは理解出来る

遊んでぶらぶらしてる看護師もスタッフも

1人もいない

みんなが走り回っているのだから

 

病院のレンタルパジャマを着ている母は

着替えが必要なのだ

とにかく、着替え渡したいな〜

でこちらも気が急いてくる

支払いのために階下にも行かなきゃだし

通りすがりの看護師さんに声をかけるも

自分の仕事の他に請け負いたくないのだろう

呼んできます

聞いてきます

と誰も対応してくれない

こちらも少々イラッとしてきて…

面会禁止のポールを越え

1歩また1歩と母の部屋であろう側に

進んでいく

流石に、面会禁止エリアに

普段着を来た、荷物をかかえた女がいたら

看護師さんから歩み寄ってくる(笑)

持って来たカバンでは帰る時の荷物が

入り切らないはずだから

荷物をまとめる袋

着替えのパジャマ

これがないと、そちらも準備進まなくない??

進むも何も手がまわってないようだ

出発時間に間に合うのだろうか??

 

よほど、猫の手も借りたかったのか

今までは病室なんて入れてもらえなかったのに

「お一人だけ、荷物をまとめる為に

入室してください」

とそのまま病室に案内される

恐る恐る部屋に足を踏み入れると

個室にひとり

テレビがついているでもない部屋に

母が横たわっていた

ただ、天井を眺めている母がいた

看護師さんと思っていたのだろう

私の顔を見るなり

え?なんで?と言わんばかりに

私から目を離さない母

左手を伸ばしてきたので

そばに寄り手を握り

「今から荷物まとめるからね。

お引越しやで〜」

と声をかけると母の目から涙がこぼれた

私は涙を見せたくなくて

すぐに背を向けて荷物をカバンに入れ始めた

私が荷物を入れている間中

母は私の姿をずっと目で追っていた

私が荷物を入れ終わるのと

着替えのため介護スタッフさんが入ってくるのと同時だった

私はそのまま部屋を出され

手続き、精算に走り回る

 

私が行ったり来たりしてる間に

母の準備が済み車椅子に乗せられて

フリースペースに現れた

孫娘(姉の娘)や姉が駆け寄った

孫娘が母の手を取ると

顔を見て分かったようだ

何度も手をぎゅっぎゅと握り合っていた

孫娘は母から離れずずっと車椅子の

そばにいて母の手を握り摩っていた

 

私が全ての手続きを終えて戻ると

「俺って格好いい先生」と1人の看護師さんが

父と姉家族と母を囲んで話していた

自分がどれほど母の病状管理に尽くしたかを

力説していたらしい

 

エレベーターで階下に降りる時

孫娘が小さな声で言った

「バァバはあの先生嫌いなんやな

あの先生がバァバに近づいて

(○○さん!お大事に!)って近づいて

言った時、

愛想笑いしてたけど、私の方見て、

すごーい嫌そうな顔してた(笑)」

こんな若い娘さえも

言葉にならない表情を感じているのに

医者は理解出来る能力はない

と言い続けた

 

介護タクシーに乗って

何度も何度も通った道を走る

母はずっと車窓に流れる景色から

目を離さず眺めていた

もう二度と見れない、外には出れない

と思っていたのかもしれない

改めて見知った景色を目に焼き付けるように…

 

姉が母と一緒に後部座席側に座り

私は助手席に座った

何度も母に方に振り返り

母が外を眺める姿を見た

「お母さん、言いたいこといっぱいあるんやんな?

悔しいんやんな?

でもな?大丈夫やで!私が全部知ってる!分かってるから!」

と言うと

母は声を出して嗚咽しながら泣いた

私に手を伸ばし、

言葉が出ないもどかしさと

悔しさで あぅ!あぅ!と

声を出し泣いた