pupui’s blog

何も知らない私が在宅介護を選んだのは…

転院先

介護タクシーに乗るため

車椅子に座っていた母は

倒れてから初めて長時間座っているはず

 

右半身が麻痺しているので

どうしても身体は傾いてくる

到着した病院で介護タクシーの車椅子を

返却するために、また病院の車椅子に

乗り換える

体の細い華奢な看護師さんが

母の両脇を抱えるが

体格のいい母は力も入らずダラリとして

ますます重い

1度めは思った以上に重く一旦

体勢を整えるため座り直す

抱えて母を隣りの車椅子に移すにはやめ

次は車椅子をセットして

「私が抱えるのでその隙に車椅子を

差し替えて下さい」

と姉の夫や介護タクシーさんに指示し

せーの!で連携プレイ

 

しばらく受付付近で待たされる

その間、孫娘が

「バァバ、ここ何処か分かる?」

と聞いたら

動く手で宙に字を書いたらしい

バァバはココが何処かちゃんと分かってると孫娘は言った

 

面談した院長先生ではなく

母の担当は副院長だそう

レントゲンを終えた母は診察室の

ベッドに寝かされていた

そのカーテンのところに仁王立ちしていた副院長はこう言った

「誰に話ししたらいい?

ここで話ししていいんですか?」

と母をチラッと見て言った

凄く高圧的な態度が妙に気になった

ここで?とかどうよか

私達に聞いても、他にあるんですか?

と反対にこちらが聞きたい

え?え?と戸惑っている私達の返事も

待たずに母の今の状況を

話し始めた

内容はとてもシビアなもので

本人の前で話す内容か?と

いろんな事が頭に過ぎって

話しに集中出来ない

副院長的には転院元の病院からの資料で

母は話しの内容も理解出来ないと

最初から思っているのだろう

幸か不幸か母はとても耳が遠く

更に男性のこもった声は聴き取り難いのでマスクも相まって

聞こえてないと信じていたかった

 

しばらくお待ち下さい

と母が寝かされた診察室に

姉と孫娘と私と4人でそこにいた

母の顔は皮膚が乾燥してボロボロだった

あんなに色白でキメの細かな母だったのに

女3人いて誰もハンドクリームさえ

持っていなかった💦💦

転院する時に返された外科で処方された薬として提出していた薬袋があった

その中に乾燥を防ぐクリームがあるのを

思い出し

慌てて母の入院荷物を探る

 

まずは顔に塗り

手に塗り…少しパジャマの袖を捲ると

ガビガビに乾燥した腕があった

手の届くところまで

姉と必死で塗りまくった

足をみた

スネはまるで鯛のうろこのように

乾燥した分厚い皮膚が立っていた

 

あっちコッチ必死で塗りまくる姉と私

母はオモチャにされて

「もうエエって💦」と言いたげな

嫌そうな顔で孫娘に目を向けた

孫娘はいつものバァバやな〜と

笑った

 

私と姉が必死になったのは

あまりにも酷い肌の状態がショック

だったからだ

え?なんで??

なんで、こんなに??

とお互い心の中で叫んでいたのだ。

私は何度もボディーローションやクリームを病院に持って行ったけれど

殆ど使われてはいなかったのだろう

姉は「やってる!やってる!って言うてたけど、結局あの病院は何もしてくれてないって!風呂だっていつ入ったか?

入ったとて形だけ。湯に浸けてハイ!おしまい!そんなもんなんや!」

と吐くように言った

母の周りには剥がれた皮膚が

山のように散らばった

韓国垢擦りでもこんなに集まらないよねと私達はなんとかこの場を

暗くしないように

いつものように会話するように頑張った

新品の50グラムのクリームが

その場でカラになった