pupui’s blog

何も知らない私が在宅介護を選んだのは…

第三幕の幕開け

癌闘病中の母が倒れた

まるで眠っているようだったと

見付けた父は言った

いつものようにイビキをかいて…

なかなか起きなくて…

不安になった父は何度も呼びかけ

身体を揺さぶったりしたけど起きなくて…

救急車を呼んで前日も診察に行った病院に運んでもらった

 

前日もその2週間前も主治医に

「めまいがする。

立ってられないくらいふらふらする」

と訴えていたのだけれど

「数値は貧血と言う程酷くはない。

若い女性の生理の酷い時くらい」

と言うばかりで、特に取り合ってももらえなかった

 

救急車には父が同乗し

私は保険証や貴重品を持ち

すぐさま車で追いかけた

2年間、母を乗せて抗がん剤治療に通った病院への道のり

通常なら40分くらいの距離

この時の道のりは今思っても

どう運転して駐車場に停めて病院に入ったのか一切思い出せない

記憶にあるのは、

「既に救急処置室に運ばれて

採血などされている母と

その横で脳外科の若い先生に話しを聞いている父がいた」

その場面からだ

 

流石に救急車は速く

私が着いた時にはレントゲンも撮って

「発見が早かったので今からすぐ

脳の血管に詰まった血栓を溶かす薬を

投与します。

2時間以内にその血栓が溶けた場合は

再発防止の管理をします。

溶けない場合は…」

みたいな説明を受けたと思う

レントゲンで見る脳の損傷は右半分を印し

右側の手も脚も看護師さんが叩いたり

つねったりしてもダラーンとなったまま

 

「脳の損傷部位は言語野と呼ばれる所まであり

失語症もあります」と

 

今から処置を急ぎますので

しばらく外で待ってるようにと言われ

母のそばで呼びかける

もともと耳が遠く普通に喋るくらいじゃ

日常生活は出来ないので

私は知らず知らずに普通に話す声も大きくなっている

看護師さんの呼びかけに殆ど反応のなかった母が

私の呼びかけに動く左手を伸ばし

私を探すように手を宙に動かした

その手を慌てて掴み

「大丈夫やで!大丈夫やで!」

と大声で話しかけたら

母の目から涙がポロポロと流れた